スバ旅行――まさか、こんな夜になるとは
「スバに旅行に行くんだけど、友達も連れてきていいよ」
そう言ってもらったので、ホストファミリーと、私の女友達3人と一緒に、レンタカーを借りてスバへ向かうことになりました。
ナンディからスバまでは、交通状況にもよりますが約3時間半。
日本でいうと、ざっくり東京から静岡あたりまで行くような距離です。
車内では、ホストファミリーと一緒に写真を撮ったり、窓の外の景色を眺めたり。
そして、私たち日本人3人で一番盛り上がったのが……
「ぐち大会」でした(笑)。
もちろん、日本語です。
だからこそ、私たち3人は周りを気にすることなく、日本語で好き放題しゃべっていました(笑)。
フィジーの景色を眺めながら、日本語でひたすらおしゃべり。
今思えば、スバに着く前からすでに旅行は始まっていました。
ナンディとは全然違うスバ
しばらく車を走らせ、ようやくスバに到着。
ナンディとは、かなり雰囲気が違います。
建物が多く、街には露店がずらり。
「同じフィジーなのに、こんなに違うんだ!」
そんな印象でした。
そして、この日の夜は、タリザの実家に泊めてもらうことになっていました。
ところが――
この日の天気が、とにかくすごかった。
ものすごい雨。
タリザの実家は街から離れた、いわゆる田舎の場所です。
しかも、雨のせいで道はぬかるみ、車では家の近くまで行くことができません。
途中で車を降りることになりました。
泥道を歩いて実家へ
ただでさえ雨でぬかるんで歩きづらいのに、家までの道は舗装されていません。
雑草が生い茂る中に、人が何度も歩いた跡だけが、かろうじて道になっているような細い道。
しかも、その道が狭い。
「ここ、本当に道なの……?」
と思いながら、足元を一歩ずつ確認して進みます。
ぬかるみに足を取られるし、雑草で足元も見えにくい。
少しでも足を滑らせたら、そのまま泥の中へ……。
しかも、周りには電気もありません。
土砂降りの中、暗くなり始めた細い道を、転ばないように必死で歩く私たち。
「お願いだから、ここで転ばないで……!」
そんなことだけを考えながら、なんとか家へ向かいました。
泥に足を取られながら、転ばないように歩く。
土砂降りの中、こんな道を歩いて誰かの家に泊まりに行くなんて、もちろん初めての経験です。
ようやく家にたどり着いたときは、
「やっと着いた……!」
と、それだけでホッとしました。
でも、このときの私はまだ知りませんでした。
このあと待っていたものが、ぬかるんだ道よりも、もっと強烈だったことを……。
「トイレは外だよ」
家に到着すると、家の中を案内してもらいました。
そして、さらっと言われたのが、
「トイレは外だよ」
でした。
……外?
一瞬、聞き間違いかと思いました。
案内されたトイレは、トタンで四方を囲んだ、とても簡素なものでした。
もちろん、明かりはありません。
昼間なら、周りは緑に囲まれていて、なんとも開放的。
まるで緑の中で用を足しているような、今まで経験したことのないトイレです。
「こういうトイレもあるんだなぁ」
なんて思っていました。
このときの私は、まだ余裕でした。
夜になって、トイレへ
しばらくすると雨も止み、夜になりました。
そして、当然ですが……
トイレに行きたくなりました。
家からトイレまでは、20秒ほど。
「まあ、すぐそこだし大丈夫でしょ」
そう思って、携帯電話のライトだけを頼りに外へ出ました。
夜の田舎。
周りは真っ暗。
足元はまだ雨で濡れていて、滑らないように慎重に歩きます。
そして、ようやくトイレに到着。
トタンのドアを開けました。
そして、中を確認した瞬間――
!!!!!!!!!!
いました。
しかも……
1匹じゃない。
3匹くらい、いる。
そう。
私の大っ嫌いな……
G。
ゴ〇〇リです。
「…………。」
一瞬、固まりました。
そして頭の中に、とんでもない考えが浮かびました。
「……これ、もうトイレじゃなくて、その辺でしてしまったほうがいいんじゃない?」
本気で迷いました。
でも、さすがにそれはできない。
意を決して、できるだけGを見ないようにしながら、なんとか用を足すことにしました。
もちろん、座るなんて無理。
お尻をつけないようにしながら、なんとか用を済ませます。
そして、終わったら一目散に家へ。
家に戻ったときの安心感といったら……。
このとき私は思いました。
「人生で最悪のトイレだった……。」
いや、正確には、
人生で一番入りたくなかったトイレ。
でも、不思議なことに。
そのトイレから見える外の景色は、本当に綺麗でした。
日本ではなかなか見ることのできない、真っ暗な夜と自然に囲まれた景色。
「こんなところでトイレをしている自分、今までの人生で一度も想像したことなかったな……」
そんなことを思いながら、家へ戻りました。ちなみに友達は緑のトイレで用を足したそうです。
そして、まさかのカバ😳
家に戻ると、何人かの男性が来ていました。
たぶん、タリザの親戚だったと思います。
外ではタバコを吸っている人がいたり、何やら飲み物を飲みながら楽しそうに話していたり。
その飲み物を見て、
「これって……カバ?」
と気づきました。
フィジーには、カバという伝統的な飲み物があると聞いていました。
でも、
まさか今夜、実際に飲むことになるとは思っていませんでした。
せっかくなので、友達と私の3人で試しに飲んでみることに。
そして、初めて口にしたカバの感想は……
「……まずい。」
いや、
すっごくまずい。
これはあくまで私の個人的な感想ですが、
まるで泥水にちょっと水を足して、さらに薄めたような味。
「え? これを飲むの……?」
思わず友達と顔を見合わせました。
全然おいしくない。
でも、周りの人たちは普通にカバを飲みながら楽しそうに話しています。
「これ、美味しいって感じるのかな……?」
そんなことを思いながら、私たち3人はなんとも言えない顔でカバを飲みました(笑)。
カバとは?
カバは、フィジーなど南太平洋の島々で親しまれている伝統的な飲み物です。
ヤンゴーナという植物の根を使って作られ、フィジーでは人が集まったときや、伝統的な儀式などでも飲まれています。
そして私が一番驚いたのは、味だけではありません。
飲んだあと、舌や口の中が少しピリピリするような、独特の感覚がありました。
この日、実際にカバを飲んでみて、
「ああ、今、フィジーの人たちの暮らしの中にいるんだな」
と、少しだけ実感しました。
フィジーの家庭で過ごした夜
外では親戚らしき男性たちが楽しそうに話し、タバコを吸ったり、カバを飲んだり。
私たちもその輪の中に少しだけ混ぜてもらいました。
昼間にスバの街を歩いていたときとは、まったく違うフィジー。
観光地では見ることのできない、現地の人たちの暮らしの中に少しだけお邪魔させてもらったような時間でした。
泥道を歩いて、土砂降りに打たれて、暗闇の中でGと遭遇して、人生で一番入りたくないトイレを経験して、最後は「すっごくまずい」と思ったカバまで飲む。
振り返ってみれば……
ものすごく濃い一日でした。
でも、こういう予定通りにはいかない旅ほど、なぜか後になって一番よく覚えているものなのかもしれません。
タリザの実家での一枚📷



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